夢の中で転んで膝をぶつけた瞬間、
「痛っ!」
と思って飛び起きたことはありませんか?
誰かに追いかけられて刺されたり、歯が抜けたり、高い場所から落ちたり…。
そんな夢を見たあと、なぜか本当に痛かった気がすることがありますよね。
でも、よく考えると不思議なんです。
夢を見ている間、私たちの体は布団の中でじっと寝ているはず。
実際には何も起きていないのに、なぜ脳は「痛い」と感じるのでしょうか?
今回は、夢の中で感じる痛みの正体について、睡眠研究や脳科学の視点から一緒に考えてみたいと思います。
※この記事は現在発表されている睡眠研究や脳科学の研究をもとに構成しています。ただし、夢の仕組みには未解明な部分も多く、すべてが解明されているわけではありません。
① 夢なのに痛い!?本当にケガをしたように感じることがある

夢の中で誰かに殴られたり、転んだり、何かに噛まれたりした経験はありませんか?
しかも、その瞬間だけじゃなく、
「なんかまだ痛い気がする…」
と感じながら目覚めることもあります。
実際、世界中の研究でも「夢の中で痛みを感じた」という報告は少なくありません。
昔は、
「夢の中では痛みを感じない」
と考えられていた時代もありました。
ところが研究が進むにつれて、夢の中で痛みを体験する人が意外と多いことが分かってきたんです。
考えてみると不思議ですよね。
テレビゲームのキャラクターが攻撃を受けても、プレイヤーは痛くありません。
映画を見ていて主人公が転んでも、自分の膝は痛くなりません。
なのに夢だけは違うんです。
脳の中で作られた映像なのに、なぜか本物みたいに感じてしまうんですよね。
② 実は脳は“本物の体験”と夢をあまり区別していない

ここで登場するのが脳です。
夢を見ているとき、脳は完全に休んでいるわけではありません。
むしろ、かなり活発に動いている時間帯があります。
特にレム睡眠と呼ばれる状態では、脳の一部が起きている時と似た活動をしていることが分かっています。
1953年にアメリカの研究者
ユージン・アセリンスキー
がレム睡眠を発見して以来、夢研究は大きく進みました。
夢を見ている時の脳を調べると、
「見る」
「聞く」
「感じる」
といった感覚に関係する部分が活動していることがあります。
つまり脳からすると、
夢の中の出来事もかなり本物に近い体験なんです。
だから夢の中で転べば、
「転んだ!」
と脳が判断し、
痛みの記憶や感覚まで呼び出してしまうことがあるんですね。
脳からしたら、
「いや、今リアルに転びましたけど?」
くらいの勢いなのかもしれません。
いやいや、布団の中なんやけどな。
③ 体は寝ているのに、なぜ痛みだけ感じるの?

ここでさらに不思議なことがあります。
夢を見ている時、体はほとんど動けません。
レム睡眠中は筋肉の力が抜けるため、夢の内容に合わせて暴れ回らないようになっています。
もしこれがなかったら大変です。
夢でサッカーをしていた人は夜中にシュート。
夢で逃げていた人は家中を全力疾走。
夢で空を飛んでいた人はベッドから発射。
朝になったら大惨事ですよね。
そこで体は休ませつつ、脳だけが活発に動いているんです。
例えるなら、
映画館は閉まっているのに映写機だけフル稼働している状態。
だから体は動いていないのに、脳の中では壮大なドラマが進行しているんですよね。
④ 実は現実の痛みが夢に入り込んでいることもある

夢の痛みにはもうひとつ面白い説があります。
それは、
現実の刺激が夢に変換されている説です。
例えば、
寝ている間に腕を変な角度で圧迫していた。
足がつりかけていた。
頭痛が始まっていた。
そんな時、脳はその刺激を受け取ります。
でも寝ているので、
「足がつった!」
とは認識しません。
代わりに、
「怪獣に噛まれた!」
「崖から落ちた!」
「剣で刺された!」
みたいなストーリーに変換してしまうことがあるんです。
これ、ちょっと考えると笑えますよね。
現実
↓
足がつる
夢
↓
ドラゴンに襲われる
脳くん、話盛りすぎなんですよ。
⑤ ケガしていないのに痛い夢を見るのはなぜ?

ところが、これだけでは説明できないケースもあります。
実際にはどこも痛くない。
圧迫もされていない。
それなのに夢の中では痛い。
こんな体験もあるんです。
研究者たちは、
脳が過去の痛みの記憶を再現している可能性を考えています。
例えば昔、
転んで膝をすりむいたことがある。
虫歯で苦しんだことがある。
注射が痛かった。
そんな記憶が夢の中で再生されるのかもしれません。
つまり脳は、
映像だけじゃなく痛みのデータまで保存しているんですね。
ゲームのセーブデータみたいなものかもしれません。
ただし、
なぜ夢の中で痛みを再現するのか。
その目的は今もよく分かっていません。
ここが夢研究の面白いところなんですよね。
⑥ 実は夢研究そのものがまだ若い学問だった

夢については昔から研究されてきました。
でも本格的に科学として研究が進み始めたのは比較的最近なんです。
レム睡眠が発見されたのは1953年。
人類はそれまで、
夢を見ている時の脳がどうなっているのかさえほとんど分かっていませんでした。
つまり夢研究の歴史は、まだ70年ほどしかないんです。
宇宙の研究や恐竜の研究と比べてもかなり新しい分野なんですよね。
だから今でも、
・夢はなぜ見るのか
・なぜ怖い夢を見るのか
・なぜ痛みを感じるのか
・なぜ夢を忘れるのか
こうした疑問にはハッキリした答えがありません。
研究者たちも、
「たぶんこうじゃないかな」
という説を少しずつ積み上げている途中なんです。
なんや、人類。
夢ひとつでまだこんなに苦戦しとるんかい。
⑦ まとめ|夢の中の痛みは“脳が作った現実”なのかもしれない

夢の中で感じる痛みは、
実際の体の刺激だったり、
脳が再現した記憶だったり、
まだ解明されていない仕組みだったりすると考えられています。
ただひとつ言えるのは、
私たちが感じる「痛い」という感覚は、最終的には脳が作り出しているということです。
そう考えると少し不思議ですよね。
夢の中の世界も、
現実の世界も、
どちらも脳を通して感じているものです。
もし脳が夢の中で本物みたいな痛みを作れるなら、
私たちが「現実」だと思っている感覚も、実は脳が組み立てた世界なのかもしれません。
……なんて考え始めると、また眠れなくなりそうです。
ほどほどに考えて寝ましょう。
明日の夢でドラゴンに噛まれても、たぶん大丈夫やでな。😌



